武器になる哲学

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未来を予測する最善の方法はそれを発明することだ「未来予測」-アラン・ケイ

1972年にアラン・ケイが記した論文「A Personal Computer for Children of All Ages」には、Appleのi Padのような、ダイナブックというコンセプトを説明するために用いた図が存在する。2024年...
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時代背景に頼らず自分の頭で考えろ「我思う、ゆえに我あり」-ルネ・デカルト

哲学史上、おそらく最も有名な命題の一つが、ルネ・デカルトの「我思う、ゆえに我あり」で、これをラテン語で表すと「Cogit Ergo Sum(コギト・エルゴ・スム)」となる。デカルトは代表作「方法序説」にて、思考の立脚点として、この「我思う、...
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学びはもう知ってるからと思った瞬間に停滞する「無知の知」-ソクラテス

古代ギリシアにて、世界のへそ(中心)と呼ばれたデルポイにて受けた「ソクラテス以上の賢者はいない」という神託を反証するため、多くの「賢者」と様々な対話を繰り返したのが、何者でもないソクラテスである。しかし対話を繰り返すうちに、ソクラテスは気付...
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自己実現は他者との差異という形で規定される「差異的消費」-ジャン・ボードリヤール

私たちは普段から、何をするときでも何かを消費している。ジャン・ボードリヤールは主著「消費社会の神話と構造」において、「消費」という言葉を再定義している。その定義とはすなわち「消費とは記号の交換」である、というものだ。そしてその記号とは「私は...
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監視の圧力をどう飼いならすか「パノプティコン」-ミシェル・フーコー

パノプティコンとは、円周場に配置された独房と、中心に配置された監視所からなる刑務所のことで、ミシェル・フーコーはこのパノプティコンの持つ「監視圧力」に着目した。尚、もともと、パノプティコンという形態の刑務所を構想したのは18世紀イギリスの哲...
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差別は同質性が高いからこそ生まれる「格差」-セルジュ・モスコヴィッシ

多くの人が建前上、あるいは表面上、社会の様々な場面でどのようにすれば公正な評価を下し下されるのか、という問いに向き合っている。その問い自体を否定するのではなく、別の問いを立てることで本項の考察とする。その問いとは「公正とは本当に良いものなの...
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客観的事実を思考の中で一旦保留してみる「エポケー」-エドムント・フッサール

単純でないもの、明確ではないものを明晰に把握しようとすることは難しい。なんでもかんでも「わかったつもり」になることは大きな誤謬の元となる。わかったつもりにならないで、判断を留保することをエドムント・フッサールは「エポケー」と名付けた。エポケ...
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よくないことが起こりそうだと思ったらさっさと逃げろ「パラノとスキゾ」-ジル・ドゥルーズ

ジル・ドゥルーズとガタリの共著「アンチ・オイディプス」にて用いられた用語である「パラノとスキゾ」を、浅田彰が著書「逃走論」の中で紹介したのがきっかけとなり、1984年の流行語大賞の銀賞となった。自身が生まれる以前の用語を取り上げたのは、この...
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性差別は根深く血の中骨の中に溶け込んでいる「第二の性」-シモーヌ・ド・ボーヴォワール

現代で言うフェミニストの走りとして、社会的な圧力によって押し込められる、女性の可能性の解放を激烈に謳ったのが、シモーヌ・ド・ボーヴォワールという人だ。ボーヴォワールは事実上のサルトルの妻であったが、双方の愛人を共有するということまでしており...
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能力を提供し給与をもらうではない関係性「贈与」-マルセル・モース

マルセル・モースはポリネシアを広く踏査し、そこに住む現地人の経済活動が西欧的な「等価交換」ではなく「贈与」の感性によって駆動されていることを発見、それを西欧社会に対し紹介した。西欧にて、本格的に初めて贈与の問題を取り上げたのがこのモースで、...
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働き方改革の先にある恐ろしい未来「アノミー」-エミール・デュルケーム

複数の会社に同時に勤める、短期間で会社を移る、会社に所属することなく個人で多様なプロジェクトに参画する。こうした働き方がクールとされ、政府も推奨し始めたことから世間でもポジティブに語られる昨今。このような働き方がスタンダードになった社会、い...
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適応力の差は偶発的に生み出される「自然淘汰」-チャールズ・ダーウィン

地質学者であったチャールズ・ダーウィンが提唱した「自然淘汰」というコンセプトを、なぜ哲学という括りで取り上げるのか。それは、「自然淘汰」というコンセプトが、社会の成立や変化、果ては世界の根本的な在り方といったものを理解するのに、非常に有用な...
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最適な解よりも満足できる解を「神の見えざる手」-アダム・スミス

とにもかくにも、まずはアダム・スミスが提唱した「市場原理」について、その概要を記す。そもそも「市場原理」が示すものに、直接的、哲学に触れるような考察は垣間見えない。それは「市場原理」が経済学に分類される項目であることからも明らかだ。ではなぜ...
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集合的な意思決定の仕組みの可能性「一般意志」-ジャン・ジャック・ルソー

ジャン・ジャック・ルソーは、著書「社会契約論」において、市民全体の意思を「一般意志」という概念で定義し、代議制にも政党政治にもよらない「一般意志に基づいた統治」こそが理想である、という考えを提唱した。こうした、組織における集合的な意思決定の...
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独裁による秩序か自由ある無秩序か「リバイアサン」-トマス・ホッブズ

トマス・ホッブズが生きた17世紀末では「世界は神様が創造された」と考えるのが主流であった時代で、そうした考えから逸脱しようものなら異端扱いとされ火あぶりの刑に処される、ということが未だに実在していた。そうした時代背景がありながらも、ホッブズ...
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外乱や圧力によりかえってパフォーマンスが高まる性質「反脆弱性」-ナシーム・ニコラス・タレブ

私たちは通常、外乱や圧力によってすぐに壊れたり、調子が悪くなったりする性質のことを、「脆弱=脆い=Fragile」と形容する。これに対置される概念は何か。一般的には「頑健=Robust」ということになる。しかし、本当にそうなのか、というのが...
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上司は自分に対する反対意見を積極的に探し求めろ「権力格差」-ヘールト・ホフステード

組織における意思決定のクオリティを高めるには、多方からの「意見表明による摩擦の表出」が重要だ。誰かの判断や行動に対し、「それはおかしい」と思った際、遠慮なくそれを声に出して指摘することが必要となる。こうした側面を、ヘールト・ホフステードは「...
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言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する「シニフィアンとシニフィエ」-フェルディナンド・ソシュール

「モノ」があって「コトバ」がある。私たちは通常、「モノ」という実在が先にきて、それに対し「コトバ」が後追いで付けられたように感じている。しかし、本当にそうなのであれば、モノの体系と言語の体系が文化圏によって異なることの説明ができない。フェル...
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非常に寛容だが売られたケンカは買うという最強の戦略「ナッシュ均衡」-ジョン・ナッシュ

ナッシュ均衡とはゲーム理論の用語で、ゲームに参加しているどのプレイヤーも、他の選択肢を取ることで期待値が向上しない、つまり「均衡」している状態を指す。なお、ゲーム理論とは、社会や自然における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の、相互依存的...
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条件に恵まれれば更なる条件に満たされる「マタイ効果」-ロバート・キング・マートン

この世の「親」に該当する人にとって、頭の良い子供、運動のできる子供は、いったいどのように産み育てればいいのか、ということは大変大きな関心の対象らしく、そのために膨大な情報量が世の中を駆け巡っている。妊娠中は鉄分を取った方がいい、赤ちゃんの脳...
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わかりあえない存在こそが学びを与えてくれる「他者の顔」-エマニュエル・レヴィナス

エマニュエル・レヴィナスが指す「他者」とは、文字通りの他者ではなく、「わかりあえない者、理解できない者」という意味合いを有する。レヴィナスはこの他者を、人間以外の概念にも拡大して用いているがそのテキストはどうにも難しく、よってここでは一旦、...
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支配を正当化する最重要要素「カリスマ性」-マックス・ヴェーバー

人口に膾炙することの多い「カリスマ」という言葉を、現在用いられているような形で最初に使用したのはマックス・ヴェーバーであった。本稿では、ヴェーバーの著書「職業としての政治」より、彼が考察した「カリスマ」について記載する。 国家や組織は支配に...
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変革は過去を終わらせることで始まる【解凍=混乱=再凍結】クルト・レヴィン

組織における人の立ち振る舞いはどのようにして決まるのか。クルト・レヴィンは「個人と環境の相互作用」により組織における人の行動は規定されると仮定し、それ以前の心理学者は「環境」と説いた。レヴィンは、現在においてグループ・ダイナミクスとして知ら...
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人間が作り出したシステムに人間が振り回される「疎外」-カール・マルクス

疎外というのは、人間が作り出したものが人間から離れてしまい、むしろ人間をコントロールするようになることを指す。多くの解説では「よそよそしくなる」という説明がなされているが、「よそよそしくなる」だけなら大した実害はない。大きな問題となるのは、...
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村落共同体と社会「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」-フェルディナンド・テンニース

フェルディナンド・テンニースが考察した哲学について、まずはゲマインシャフトとゲゼルシャフトそれぞれの概要を説明する。 自然発生的なコミュニティ「ゲマインシャフト」 地縁や血縁、友情などによって深く結びついた自然発生的なコミュニティのこと。元...
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あえて難癖を付ける人の重要性「悪魔の代弁者」-ジョン・スチュアート・ミル

「悪魔の代弁者」とは、多数派に対しあえて批判や反論をする人のことである。あえて、とはつまり、その人の人間性や性格が天邪鬼であるということではなく、そうした「役割」を意図的に負うという意味合いとなる。 悪魔の代弁者 「悪魔の代弁者」という用語...
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よりよい統治のためなら非道徳的なことも許される「マキャベリズム」-ニッコロ・マキャベリ

嘘か誠か、ナポレオン、ヒトラー、スターリンといった独裁者は、寝る前にマキャベリの記した「君主論」を読んだと言われている。「君主論」の中で、マキャベリは「恐れられるリーダーになるべきだ」と主張した。 マキャベリズムとは、マキャベリが「君主論」...
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創造的な問題解決能力を著しく毀損する「予告された報酬」-エドワード・デシ

多くの企業において最重要課題となっているイノベーション。個人の創造性とイノベーションの関係は単純ではなく、個人の創造性が高まったからといってすぐにイノベーションが起きるわけではない。しかし個人の創造性が必要条件の大きな一部であることは論を待...
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人が能力を最大限に発揮し充足感を覚えるとき「フロー」-ミハイ・チクセントミハイ

「幸福な人生とはどのようなものか」という問題意識から、心理学の道に進んだミハイ・チクセントミハイ。そうして行き着いたのが「フロー」の概念となり、ともすれば「フローの状態にある」というのは、幸福の条件の一つと捉えることもできる。 持てる力を最...
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集団において個人の良心は働きにくい「権威への服従」-スタンレー・ミルグラム

人間には自由意志があり、各人の行動はその意思に基づいていると考えがちだ。しかし、本当にそうなのか?という疑問をスタンレー・ミルグラムは投げかける。 まずは、社会心理学史上において世界的に有名な実験である「ミルグラム実験」を取り上げる。 権威...
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自分の行動を合理化させるために意識を変える「認知的不協和」-レオン・フェスティンガー

私たちは「意思が行動を決める」と感じるが、実際の因果関係は逆だ、ということを認知的不協和理論は示唆する。外部環境の影響によって行動が引き起こされ、その後に、発現した行動に合致するように意思は、いわば遡求して形成される。 人間は「合理的な生き...
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実は人脈が広くない「自己実現的人間」-エイブラハム・マズロー

別途まとめた「自己実現を成し遂げた人に共通する15の特徴」より、「5.超越性-プライバシーの欲求」と「10.対人関係」を取り上げる。この2項目から読み取れるのは、マズローが「自己実現的人間」と見なす人は、孤立気味であり、また人脈も広くはない...
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マズローによる自己実現を成し遂げた人に共通する15の特徴

「武器になる哲学」にて紹介されている項目「自己実現的人間」の中で、マズローによる「自己実現を成し遂げた人に共通する15の特徴」がボリュームを割いて記載されており、いちコンテンツとして充分な要件であることからここに残しておく。 尚、「武器にな...
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ユダヤ人虐殺計画に見る「悪の陳腐さ」-ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレントが書き記した著書「エルサレムのアイヒマン」、その副題が「悪の陳腐さについての報告」である。我々が持つ「悪」についての認識「普通ではない、何か特別なもの」に対し、揺さぶりをかける。 600万人を処理したナチスドイツによるユダ...
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どのように生きるかという問いに対する答え「アンガージュマン」-ジャン・ポール・サルトル

サルトルといえば実存主義であるが、ではその実存主義とは何か。哲学には「世界はどのように成り立っているのか=Whatの問い」と「どのように生きるべきか=Howの問い」があり、後者を重視する立場が実存主義ということになる。 Howの問いに対する...
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人は不確実なものほどハマりやすい「報酬」-バラス・スキナー

人はなぜソーシャルメディアにハマるのか。要因は色々と考えられるが、ここでは脳の報酬というコンセプトから考察する。 行動心理学の創始者バラス・スキナーは、スキナーボックスで以てネズミがどのような行動をとるのかを実験・研究した。 スキナーボック...
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自分らしい生をおくるために「自由からの逃走」-エーリッヒ・フロム

フロムの主著「自由からの逃走」は、私たちの「自由」に対する認識に大きな揺さぶりをかけてくる。 現代に生きる人の多くは、「自由」を無条件によいものだと認識している。一般市民が中世以来続いた封建制度から解放されるのは、ヨーロッパでは16~18世...
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世の中を生きる別人格「ペルソナ」-カール・グスタフ・ユング

ユングは、パーソナリティのうち外界と接触している部分をペルソナという概念で説明している。 ペルソナとは、一人の人間がどのような姿を外に向かって示すかということに関する、個人と社会的集合体とのあいだの一種の妥協である、とユングは説いている。元...
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本来の認識や判断が歪んでしまう「ルサンチマン」-フリードリヒ・ニーチェ

ある日、キツネがブドウの房を見つけて食べようとしますが、ブドウは高い棚に生っており、キツネは手が届きません。キツネは何度かジャンプを試みますが、果実に届くことができず、最終的に失望して去ってしまいます。去り際にキツネは、ブドウが酸っぱいと嘘...
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個人の素養は生まれつきではなく経験次第「タブラ・ラサ」-ジョン・ロック

ロックは哲学者としてだけではなく、医者としても多くの乳児や幼児と接する経験を得た。 そのことから、生まれたときの人の心は「何も書かれていない石板=タブラ・ラサ」のようなものだと説いた。 タブラとはタブレットの語源、つまりは板という意味を含む...
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「努力すれば報われる」ではない動機付けの思考論「予定説」-ジャン・カルヴァン

カルヴァンの思想体系が、今日の民主主義・資本主義の礎となり、世界史に大きな影響を与えた。 では、その思想体系とはいったいどういうものなのか。カルヴァンは、マルティン・ルターのプロテスタンティズムをより洗練し強固なものにした上で、大きな影響力...
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人を動かす3つの十分条件「ロゴス」「エトス」「パトス」-アリストテレス

人の行動を本当の意味で変えさせようと思うのであれば、「説得より納得、納得より共感」が求められる。 では、人が真に動くためには何が必要なのか。アリストテレスは「弁論術」において、「ロゴス」「エトス」「パトス」が必要だと説いた。 如何に論理的と...
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哲学を学ぶ意味-4.悲劇を繰り返してしまうのか否か

わたしたち人間の歴史は、これほどまでに邪悪になれるのかという悲劇で真っ赤に血塗られている。 そのような悲劇は、だれでもなく我々、人間の愚かさが原因となって招かれている。時代時代で発生する悲劇に対し、哲学者たちはその目を向け、愚かさを告発し、...
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哲学を学ぶ意味-3.課題設定能力

イノベーションの停滞が叫ばれてしばらく経つが、その原因は創造性やアイディアの欠如ではなく、解決すべき課題がわからないからではないだろうか。 課題を解決する=イノベーションが起きる、とまでは言わないまでも、イノベーションを起こす=何らかの課題...
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哲学を学ぶ意味-2.批判的思考のツボを学ぶ

哲学の歴史は、世の中で言われてきたことに対する批判的思考の歴史である。長い歴史の中で、哲学者が向き合ってきた問いは、以下の2つに整理できる。 世界はどのように成り立っているのか → Whatの問い その中で私たちはどのように生きるべきなのか...
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哲学を学ぶ意味-1.状況を正確に洞察する

哲学を学ぶことの最大の効用は、「いま、目の前で何が起きているのか」を深く洞察するためのヒントを、数多く手に入れることができるということ。 「いま、目の前で何が起きているのか」という問いは、言うまでもなく、多くの経営者や社会運動家が向き合わな...
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リーダーに教養が求められる理由-「役に立たない学問の代表」である哲学

世界に目を向けてみると、社会において大きな権力・影響力をもつことになる人材の教育において、哲学を中心としたリベラルアーツがますます重視されるようになってきている。 近代以降、ヨーロッパのエリート養成を担ってきた教育機関では、長らく哲学と歴史...