笑うことで分泌される4つの脳内化学物質とその効果

スタンフォード大学ビジネススクール人気講義「ユーモアは最強の武器である」ジェニファー・アーカー&ナオミ・バグドナス著

私たちが笑うと、脳内ではホルモンのカクテルが分泌され、ハッピーな気分になったり(ドーパミン)、人への信頼が深まったり(オキシトシン)、ストレスが緩和されたり(コルチゾールの減少)、ちょっぴり高揚感が湧いてきたりする(エンドルフィン)。

私たちが仕事上のやりとりにもユーモアを効かせれば、同僚たちはこの効果抜群のホルモン・カクテルを味わえる。しかも相手の脳だけでなく、自分の脳でも、脳内化学物質の変化を起こすことができるのだ。

ドーパミン

ドーパミンは、神経伝達物質の一種であり、中枢神経系で重要な役割を果たしています。脳内で合成され、神経細胞間で情報を伝達する役割を担っています。

ドーパミンは、運動制御や快感、報酬系、学習、注意、記憶、モチベーションなど、さまざまな生理的および行動的な機能に関与しています。例えば、運動制御ではドーパミンが関与し、パーキンソン病などの神経変性疾患ではドーパミンの不足が問題とされています。

また、ドーパミンは快感や報酬系にも関与しており、物事を楽しむときや目標を達成したときに放出されることが知られています。この快感や報酬系の活動は、中毒性のある物質の摂取や依存症の形成と関連していることがあります。

さらに、ドーパミンは注意や記憶、モチベーションにも関与しています。モチベーションや報酬を得ることでドーパミンが放出され、学習や行動の促進を助ける役割を果たしています。

オキシトシン

オキシトシンは、ヒトおよび他の哺乳類で生産されるホルモンです。主に、社会的な結びつき、信頼、親子関係、性的行動、出産と授乳など、さまざまな生理的および行動的なプロセスに関与しています。

一般的には「愛のホルモン」として知られており、親子の絆やパートナーシップの形成に重要な役割を果たしています。例えば、出産時や授乳時にオキシトシンの分泌が増加し、母親と赤ちゃんの絆を強める助けとなります。また、オキシトシンは性的興奮と関連しており、性的行動やオーガズム時にも放出されます。

さらに、オキシトシンは社会的な結びつきや信頼の形成にも関与しています。例えば、他者との親密な関係や友情の構築、相手への思いやりや共感の感情を高めることが知られています。オキシトシンは、社会的な対話や身体的接触(ハグなど)の結果としても放出されることがあります。

さらに、オキシトシンはストレス軽減の効果も持っていると考えられています。オキシトシンの分泌はストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げることが示されており、リラックスや安心感をもたらす役割を果たす可能性があります。

コルチゾール

コルチゾールは、副腎皮質から分泌される主要なストレスホルモンであり、グルココルチコイドとして知られるステロイドホルモンの一種です。コルチゾールは、ストレス応答や体内のエネルギー代謝に関与し、さまざまな生理的および代謝的なプロセスを調節しています。

主な機能の一つは、ストレスへの対応です。ストレスが発生すると、副腎皮質からコルチゾールが放出されます。コルチゾールは、ストレスに対する身体の応答を調節し、エネルギーの動員や炎症の制御、免疫応答の抑制などを通じて、身体をストレスから守ろうとします。

また、コルチゾールはエネルギー代謝にも関与しています。飢餓状態や低血糖時には、コルチゾールがグルコースの合成を促進し、血糖値を上昇させる役割を果たします。さらに、コルチゾールは脂肪分解を促進し、エネルギー源としての脂肪の利用を促進します。

ただし、長期間にわたる慢性的なストレスや高レベルのコルチゾールの分泌は、健康に悪影響を与える可能性があります。例えば、免疫機能の低下、骨密度の減少、筋肉の減少、認知機能の低下、心血管疾患のリスクの増加などが報告されています。また、ストレス関連の障害やうつ病の発症にも関与する可能性があります。

コルチゾールは日内リズムを持っており、通常は朝に最高値を示し、夜には最低値になります。このリズムは、睡眠や覚醒のサイクルを調整する役割も果たしています。

総じて、コルチゾールはストレス応答やエネルギー代謝の調節に重要な役割を果たすホルモンですが、適切なバランスが維持されることが健康にとって重要です。

エンドルフィン

エンドルフィンは、脳内で自然に生成される内因性オピオイドペプチド(内因性鎮痛物質)の一種です。エンドルフィンは、快感や幸福感をもたらし、痛みの軽減やストレスの緩和に関与しています。

エンドルフィンは、運動や性行為、食事、笑い、マッサージなどの快感をもたらす活動や刺激によって放出されることが知られています。これらの活動によってエンドルフィンが増加することで、心地よい感覚やリラックス効果が生じるとされています。

エンドルフィンは、神経伝達物質であるドーパミンの放出を促進することもあります。ドーパミンは報酬系や快感に関与しており、エンドルフィンがドーパミンの放出を促進することで、快感や幸福感がより強まると考えられています。

また、エンドルフィンは痛みの緩和にも関与しています。運動や身体的な活動によってエンドルフィンが放出されることで、痛みの感じ方が軽減されることが報告されています。エンドルフィンは、オピオイド受容体に結合することで痛みの伝達を抑制し、鎮痛効果を発揮します。

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